国際情勢

シベリアでトナカイの死骸から「炭疽菌」見つかる。その危険性とは?

これも地球温暖化の影響なのでしょうか。75年前の「炭疽菌」が地元住民を恐れさせています。

ロシアのシベリア西部で、この1カ月あまりで野生のトナカイ約1200頭が謎の大量死をしていることがわかりました。

tonakai

野生のトナカイ

当初その死因はシベリアとは思えない高温が続いていたことが原因と見ていたのです。たしかにこの1カ月間の最高気温は35度という、シベリアの地としては異常な暑さを観測していたからです。

しかし当局が詳しく調べた結果、大量死したトナカイの死因はなんと「炭疽菌」だったことが確認されたのです。そして現地の遊牧民の一部が、「炭疽菌」に感染した疑いがあるということで13人が入院しました。

トナカイの死骸から炭疽菌感染か、13人入院 シベリア西部(CNN.JP)

専門家によると、炭疽菌に感染したトナカイの凍結した死骸が暑さのために解けて、熱波で弱ったトナカイがそれらを食べ、結果として遊牧民にまで感染が広がったと推測しています。

しかし75年前に死んだトナカイに炭疽菌がまだいたことに驚きですよね。

「炭疽菌」ってどんな菌?症状は?

「炭疽菌」はドイツの細菌学者ロベルト・コッホが1876年に発見し、その後フランスの細菌学者ルイ・パスツ−ルがワクチンを開発しました。

この炭疽菌ですがかなりしぶとい菌で、自分の生育環境が悪化すると、菌体の中央付近に卵円形の芽胞というものを形成します。この芽胞は熱や化学物質などに対して非常に高い耐久性を持っており、このため炭疽菌が生息している環境から菌を除去することは極めて難しいとされています。第二次世界大戦後に連合国軍が行った生物兵器「炭疽菌爆弾」の実験では、少なくとも投下後40年以上にわたって、多数の炭疽菌が土壌に残存しつづけるということが判明しています。

そんな「炭疽菌」は基本的に世界中の土壌のどこにでもいる常在細菌で、主に家畜やヒトに感染して炭疽症を発症させます。

そのもっとも多い例は、皮膚の傷口から炭疽菌が侵入して、皮膚で発症する皮膚炭疽です。症状としては、感染後1~7日後ニキビの様な小さな掻痒性または無痛性の丘疹が現れて、周囲には発疹と浮腫が現われます。

丘疹はやがて崩壊し、潰瘍となり特徴的な「黒いかさぶた」へと変化し、その後高熱が出るのです。致死率は何も治療をしなければ10~20%とされています。

この皮膚炭疽に感染した人間の画像がこちらです(グロテスクですので自己責任でご覧ください)

この皮膚炭疽は特に中世ヨーロッパで家畜の屠殺業を行う人に多く見られたそうです。

また炭疽菌が呼吸器を介して肺に到達すると、肺炭疽と呼ばれる極めて重篤な疾患を起こします。この肺炭疽はとくに羊毛を扱う者に見られた疾患だそうです。

炭疽症は抗生物質で完治する。しかし過去にはテロの道具として使用も

基本的にヒトからヒトへの伝染は起きないですし、手遅れでなければ抗生物質で完治しますので現在ではそれほど恐れる心配はない「炭疽菌」ですが、過去にはアメリカでテロの道具として使用された「米国炭疽菌事件」が有名です。

アメリカ炭疽菌事件(防災システム研究所)

また、日本においてもあのオウム真理教が亀戸で異臭騒ぎを起こした原因もこの炭疽菌でした。

 

現在世界中でテロを起こしている「イスラム国」などが、培養も比較的簡単な「炭疽菌」をテロに利用する日が来ないとは限りません。

日本でも2020年東京でオリンピックが行われますが、このような細菌テロへの対策はしっかりやってもらいたいですね。

 

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